reblog, 私の意見
22 October

「重税国家」への道を許してはならない!

安住淳財務相は、消費税率を10%に引き上げる法案を来年に国会提出、成立させると、先のパリでの20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議で公約した。野党と調整中の復興増税の次は消費税増税というわけで、日本は世界に向けて「重税国家」路線を鮮明にしたわけである。

【ビジネスアイコラム】重税国家路線の日本は米欧と共倒れ 1/2ページ – SankeiBiz(サンケイビズ)

10/19付のSankei Biz「ビジネスアイコラム」の産経新聞の田村秀男編集委員の論説が興味深い。

安住外相が増税を「国際公約」したことで、
「世界に向けて『重税国家』路線を鮮明にしたと批判している。

氏は、その背景に、「米欧中心の国際金融コミュニティーが日本の増税を必要としている」と見ている。

つまり、世界随一の日本の国内貯蓄を、国際金融市場に供出し続けることを狙っているというものだ。

日本の銀行の対外純金融債権は、約1兆8000億ドル、日本に次ぐのはドイツ(約9700億ドル)だが、ドイツはリーマンショック後の欧州金融不安、ギリシャ危機、イタリア、スペインなどの国債相場急落等により目減りし続けている。加えてドイツ国内銀行の自己資本増強のため、税金を資本に注入せざるを得ず、他に資金を貸し出すゆとりがないという。

彼ら(米欧中心の国際金融コミュニティー)にとっての脅威は、日本が復興資金確保のために海外向けの債権を取り崩すことと指摘している。

日本が海外向け債権を取り崩すことなく、建設国債等も国内貯蓄を吸い上げることなく、対外投融資に回してもらうことがベストであり、
そのためには、増税を黙って受け入れ、消費を切り詰め、貯蓄に励んでもらうのが一番だ。
その貯蓄を借り入れれば、ロンドンやニューヨーク市場は一息つける、というものだ。

なかなか穿った意見だと思う。

しかし、氏が警告するように、
国内経済政策を、単に対外配慮や国際関係の枠組みに引っ張られて決めてはならない。
アメリカもヨーロッパも、そして新興諸国も、財政・金融が手詰まり状態のところへ持ってきて、
日本も消費を委縮させ、デフレを助長させたら、日本も世界も共倒れになる、とはその通りだろう。

「日本はこれ以上、経済成長する必要はない」という声もよく聞かれる。
「成熟大国を目指せ」とは聞こえのいい言葉で、
実のところ、これ以上豊かにはなれないから(豊かになるのは罪悪だから)
昔のようにつつましやかに生きていきましょう、ということだ。

それは、すでに繁栄している国だからこそ言えることであって、
ある意味傲慢にも聞こえる。
例えばGDPは日本の20分の1でも「自分は幸福」と感じている人が95%いると言われるブータンの人が、だから経済発展を願っていないとは思われない。

いまさら江戸時代や、もっといえば縄文時代へは戻れないのだ。
(もっとも趣味として「ジョーモニアン」として生きたいと思う人もいるだろう。
そういう生き方が許されるということも、日本の豊かさの表れだと思うのだ)

アメリカも衰退、ヨーロッパも焼野原、新興国ももがき苦しんでいる状態で、日本も経済が衰退してゆけば、まさしく「共倒れ」であり、
飢え、貧困、紛争が世界を覆うのは必定と言える。

日本が、国際金融コミュニティーの目先の利益のために翻弄され、結局は共倒れにならないためには、
日本が世界に対するミッションを負うべきである。
それは、日本が繁栄することで、世界の繁栄と平和、さらには自由を守るという、聖なる願いであるべきである。

つまり、日本の繁栄が世界を救うという、ノブレス・オブリッジを持つべきである。
そうした崇高な理想の下で、日本はさらなる経済成長することの正統性が担保される。

「重税国家」の行きつく先は、私有財産の否定であり、社会主義国家、全体主義国家であることを、改めて警告しておきたい。