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14 November

TPP首脳会議に出席できなかった?それより気になる増税の国際公約

【ホノルル時事】野田佳彦首相が環太平洋連携協定(TPP)交渉参加方針を表明したアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議。「日本の主導的な役割を果たしたい」との首相の訴えは、複数の参加国首脳から歓迎の意向が示された。一方、首相はTPP首脳会議に出席できず、日米首脳会談での首相発言をめぐっては、双方の説明が食い違った。日米間の調整不足が露呈し、今後の外交交渉も難航する米軍普天間飛行場移設問題と同様、先行きを危ぶむ声が出ている。

時事ドットコム:「第2の普天間」を懸念=TPP、日米の調整不足露呈-APEC

あれだけ国論を二分するほどの、あるいは民主党が分裂するほどの(分裂した方が日本のためかもしれないですが)大騒ぎして、交渉参加を表明した野田首相にとっては晴れ舞台だったはずですが、「TPP首脳会議に出席できず」とは、何とも情けないですね。

CNNやNBCなどの動画を見る限り、アメリカのメディアではTPPについて(少なくとも私が見た限り)まったくと言っていいほど、取り上げられていません。
(TOEICの点数など恥ずかしくて言えないほどの私の英語力では見逃した可能性もあるわけですが、少なくともヘッドラインを飾るほどの大きな扱いは見逃してはいないと思いますので)

そもそもはちょうど1年前の11月13日、APEC・CEOサミット(横浜)で、当時の菅首相が「第二の開国」などとのたまわってTPP参加に強い意欲を示したのが始まりだったといえましょう。

何をもって「第二の開国」というのかよくわからないままに、「第二の開国」という言葉が独り歩きしているように思います。

深く考えずにパフォーマンスが先行する民主党の首相のDNAを野田首相もしっかりと受け継いでいるのでしょうか、それとも党内の宥和だけ、自らの政権が生き長らえることだけを考えた内向きな判断で交渉に参加すると表明したのでしょうか、いずれにしても、明確な国家ビジョンも、それに基づいた戦略もないまま、交渉に臨むことは、意味がないどころか、大変危険なことでもあります。相手(おもにアメリカ)の意のままに翻弄されてしまうのは目に見えています。

交渉には参加しないよりはした方がよいとは思いますが、それはあくまで国家ビジョンが明確であり、何を持って国益とするかが明確であり、どのように交渉を進めるかという戦略が明確であって初めて交渉のテーブルにつけるのであり、思いつきの人気取りのために交渉に臨むことがあっては、まさしく「国益」とは真逆の結果になってしまいます。

それよりも重大なのは、野田首相が、増税を国際公約してしまっていることです。
日本にとって何よりの優先課題は、震災復興、そしてそれを下支えする景気復興です。
それをなすためには、増税は百害あって一利なし、です。

繰り返し言うように、日本は、長期デフレ不況で苦しんています。
こんな時に増税をかけたら、ますます消費は冷え込み、さらに景気は悪化し、結果税収は減ります。
加えて、TPPに参加することにより、海外からさらに安い商品が入ってくれば、ますますデフレを助長することにもなりかねません。

つまり、デフレ脱却こそ急務なのです。

政策の優先順位としては、TPP参加交渉という外交カードは持っていた方がよいとは思いますが、まずはデフレ脱却、景気回復を最優先しなければならないし、そのためには増税は絶対にやってはいけない。

むしろ減税により消費拡大を推し進め、大胆な財政出動、具体的には東北地方の復興(復興というよりさらに最強の未来都市へと進化させる)のためのインフラに資本投下すべきです。さらに、金融緩和、これらを組み合わせることが大切だと考えます。

震災復興、これも繰り返し言ってることですが、財源の心配はいりません。

円高対策に効果のない12兆円を為替介入に投入するくらいですから(これとて国民からの借金です)、そのまま復興債に充てればよろしい。それを日銀に引き受けさせれば、デフレギャップは減らせるし、うまくいけば緩やかなインフレにもっていけるかもしれません。償還にはその分、円を刷ればよい。デフレで円が足りないのですから、円高対策にもなります。増税など、もってのほかです。 

増税は、重税国家への道であり、重税国家への道は、高福祉・低成長国家への道、国家破綻への道です。