企業人としての気概に期待したい(2)
米倉会長との主なやりとりは以下の通り。
--中国漁船衝突事件を機に日中間の緊張が高まっている
「中国は困っているのではないか。あまりに大きな問題になったので収拾したくてしようがないのでは。野党は国会の争点にしたがっているようだが、国会では将来のことについて議論すべきだ。あまりに内向きすぎるとまた中国を刺激することになる」
先日の拙ブログで、昭和恐慌のみぎり、松下幸之助氏が敢えて高級自家用車を購入した話に触れた。
あれだけの恐慌の中に在っても、他人や環境のせいにすることなく、必ず経済を復興させるという気概の表れであったと思う。
偉大な経営者、企業人に共通することとして、単に”お金儲け”を追求するだけではなく、事業の繁栄を通して、世の中をよくしたい、世の中の発展に貢献したい、という強い意志があるように思う。
最近の経営者、企業人を見ていて気になるのは、まさにこの点である。
たとえば、経団連は、「法人税減税」を訴えているが、一方で、「消費税増税」には賛成している。むしろ、積極的に提言しているようでもある。
一見するとこれは不思議なことである。消費税を上げれば、モノが売れなくなるから、企業にとっても消費税も減税、少なくとも現状維持の方が良いではないか。
これでは、「法人税減税」と「消費税増税」をバーターしているように見られても仕方がないではないか。
もしそうならば、国民全体の利益よりも、経済界の利益を優先していると言われても仕方がないだろう。
また、尖閣諸島での中国漁船衝突事件に関する、米倉経団連会長のコメントも気になる。
米倉弘昌日本経団連会長、対中外交に苦言「大使にはそれなりの人選が大事」 (1/2ページ) – MSN産経ニュース
日本企業が生産拠点を中国に多く構えている現状において、中国との関係悪化を避けたいのは理解できるが、あまりに中国寄りではないか。
外交は国益を懸けた戦いである。やはりここは企業人といえども、いや、企業人であるからこそ、「何が正しいか」を考えて、「社益」よりも「国益」を優先させる気概を持つべきである。
これでは、「ホリエモン」を批判する資格などない。
松下幸之助氏が説いたように、「産業報国の精神」こそが、日本の繁栄を築くことができる。
そのような気概、気骨を、現代の企業人にも期待したい。