国家が財政赤字になる理由
5月10日~11日の各メディアは、「国の借金959兆円、国民一人当たり約752万円」、などと報じています。
「政府の借金」を「国民の借金」とすり替える欺瞞は、巧妙な世論誘導、洗脳であることを、再三再四指摘していますが、ここでは1つだけ言っておきたいと思います。
即ち、「国家が財政赤字になる理由は、国家がやっている仕事が、国民を富まさないからである」ということです。
むしろ、貧乏になる方向で仕事をしているからです。
教育政策、農業政策など、単なるバラマキでは、新たに国富を増やすことができません。
「それは、自民党政権時代からだ」と民主党政権は反論するかもしれません。
確かにその通りですが、もしも、そんなことを言い訳にするならば、政権交代などせず、万年野党でいるべきでした。
それを解決する策がないのならば、政権党とも、責任政党とも言えません。
「それを解決するために、『社会保障と税の一体改革』を謳っているのだ」と再反論するかもしれませんが、これも再三指摘したように、社会保障が所得の再配分であるという原理原則から見て、それを所得と関係のない消費税で賄おうということ自体、論理破綻していますし、やがて一人の現役世代が、一人の高齢者を支える「肩車世代」となれば、単純に言って消費税率50%にしなければやっていけなくなりますから、ますます負担は増え、「将来世代に負担を先送りしない」という論理も嘘であること明らかです。
「社会保障と税の一体改革」というと聞こえはいいように聞こえますが、残念ながら、社会保障は富を減らすことにはなっても、新たに富を創造することにはなりません。結果、財政赤字はさらに増え、国民の負担はさらに重くなります。
「弱者に優しく」すること自体は結構ですが、みんなが弱者になったら、救える人がいなくなります。
社会保障を充実させる方法は、増税などではなく、国富を増大させること、すなわち経済成長です。
財政赤字も、GDPが2倍になれば、解決可能です(もっとも、無駄な支出やバラマキも2倍になれば解決しませんが)。
さらに言えば、大国・日本として、世界の中での責任を果たすためにも、経済成長、国富増大は何としても必要です。
世の中の役に立つ仕事をして、すなわち、国民に喜ばれ、感謝されるような仕事をして、富まないわけがないのです。
これは一個人、企業は勿論ですが、国家経営においてもあてはまることです。
日本のGDPを、2倍、3倍にするぐらいの気概と構想を持ちたいものです。