やっぱり解散・総選挙で民意を問うべし。
上久保誠人立命館大学政策科学部准教授の論考がDIAMOND Onlineに掲載されています。
上久保誠人のクリティカル・アナリティクス「復興策に国民の総意が反映されない“審議会方式”―総選挙により国民が『選択する機会』を設けるべきだ」http://diamond.jp/articles/-/12406
私なりに論点を要点すれば、以下の通りです。
◆復興後に、すべての製造業が元通りに復活するというのは幻想。競争力があり、成長が期待できる産業以外は「やらない」と決断すべきだが、その場合、マスコミなどから「指導力不足」と批判されので、「やらない」という決断を下し、日本の新たな国家像を構想するのは難しい。
◆「復興税」など、増税の必要性が主張され、「復興再生債」などの「国債」発行も、償還財源も結局は消費税などの増税と考えられている。日本は増税しなくても復興財源を確保できる。米国債などの取り崩し、200兆円と言われる企業の内部留保を使えばいいなどの意見をほとんど検討していない。また、東電の損害賠償は最終的に電気料金に転嫁され、国民の負担。
◆「審議会」は、御用学者や、財界、業界、労組などの代表、市民団体、NPOなどだけであり、大多数の国民は意思決定から排除されるため、議論に参加できるアクターの利益が守られ、その他の国民は意思を表明できぬまま、費用を負担させられる。よって、「選挙」のほうが、より多くの国民が政府の意思決定に参加できる。
◆陳情の寄せ集めでしかない復興構想会議に頼るのをやめ、「子ども手当」の基本理念を撤回せずに復興策を構想する(「社会全体で子育てする国にする」という基本理念は、欧州諸国では一般的な社会思想であり、「バラマキ」と一方的に切り捨てられるべきではない、としている)。むしろ、この理念を維持することで、欧州型の「経済成長によらない豊かな国」の構想を目指すべき。
◆一方、自民党は従来の製造業による経済成長を中心とした国家構想の延長線上で、「子ども手当」撤回などの予算の徹底見直しを盛り込む対案をまとめ、民主党と自民党は異なる国家構想を掲げて総選挙を戦うべきだ。
◆どちらの国家構想が復興後の日本にふさわしいかは、国民の選択で決定される。その時、「公共性」のある日本の復興策が決まるのではないだろうか。
私は、この意見には全面的に賛成と言うわけではありませんが、“審議会方式”には国民の相違が反映されていないので、総選挙の方が良いという意見はその通りだと思います。
そして、この記事の末尾では、「復旧から復興へ移行する段階で、総選挙を実施すべき?」という世論調査をしていますが、「実施すべき」という回答が、実に88%を占めています(「実施すべきでない」7%、「その他」5%)。
これは、解散・総選挙によって民意を問うべきという強力な論拠になります。
この世論調査を見ても、おそらく菅首相は、「DIAMOND Onlineという限られた読者の、限られた意見だ。必ずしも民意とは思えない」とか言って、自ら進んで解散・総選挙に打って出る気持ちはないでしょうが、内閣不信任案が提出され、与党からも造反者が出れば可決される可能性があります。そうなると、解散せざるを得なくなります。
設問の「復旧から復興へ移行する段階」というのは曖昧な言い方で、「いつ」と確定することが難しいですけれど、「審議会」で民意と異なる決定がなされる前に、菅首相には一日も早く解散していただいて、総選挙によって民意を問うていただきたい。
また、付け加えるならば、上久保准教授には、民主党と自民党の二大政党制が念頭にあるようですが、2009年の総選挙で民主党への政権交代を許したことで、二大政党制が必ずしも民意を忠実に反映するものではないことが、国民の間でもわかったように思います。
私たちは、民主党でもない、自民党でもない、「新しい選択」として「幸福実現党」の旗を掲げ、民主党とも自民党とも異なる、未来の国家構想も提示しております。
どうか、民意を問う際には、二大政党による「政権交代」的なものに争点を矮小化させることがなきよう、マスメディア・知識人・学者等関係各位には、公平なお取り扱いを願います。