菅直人首相が法人税率の5%引き下げを指示したのを受け、政府税制調査会は14日、企業の内部留保に対する課税の検討に着手した。政府は減税分を雇用や国内投資に回すよう経済界に求めているが、税調メンバーらは減税分が「内部留保に回るだけ」と懸念しており、そうならないよう企業側をけん制する狙いがある。16日に閣議決定する11年度税制改正大綱には盛り込まないものの、来年度に法人税減税の雇用・投資効果がみられなければ12年度からの導入を検討する構えだ。

法人税:5%引き下げ 内部留保に課税も 政府検討、企業側をけん制 - 毎日jp(毎日新聞)

本格的左翼政権が、国防問題をきっかけにやや保守化してきたかに見えたが、経済政策的には、まだ左翼の性格を残しているという好例ではないか。

法人税率引き下げ自体は、正しい方向だと思うが、内部留保に課税するという発想そのものが理解できない。
これでは健全な資本主義精神を涵養して経済成長を促すという本来の意義が失われ、結局、とりあえず減税したというアリバイ工作のように見えるではないか。
減税分が雇用や国内投資に回らず、内部留保に回ることと懸念してのことのようだが、そもそも内部留保の意義を理解していない。企業が利益を出すこと自体を悪と見ている発想に思えてならない。

利益は、発展のためのコストである。
売り上げから人件費その他諸々のコストを引き、税金を納めた後、配当も出し、その後に残った利益を積み増していき、将来への投資の原資とするのである。
さらに言えば、内部留保がそのまま現金であるわけではない。減価償却後の設備その他のものがお金に換算される価値があるとみなされているのである。

内部留保に課税するということは、どうしても、人の懐に手をつっこんで金銭を巻き上げようとする図に見えて仕方がない。
表現は悪いが、本質はそういうことではないだろうか。

利益イコール悪と見る見方は、利益というものは、何らかの価値を生み出してこそ得られるものだということを理解していないということなのだろう。
AからBに移したただけのものを利益と呼ぶなら、それは一定の、限られたものだから、「搾取」ということも成り立つだろう。
しかし、実際は、汗水たらして勤勉に働いたり、創意工夫して新しいもの(ハードとは限らない。ソフトもある)を生み出して得られるものである。
富とは、増やしていくことができるものなのである。

こういう発想がないから、あるところ(そこは搾取など、あくどいことをして利益を得ているに違いないから)からとればいい、という発想になってしまうのではないだろうか。

「法人税減税の結果、雇用に変化がなければ本当に(内部留保課税を)やる。そうした姿勢を見せることが大事だ」という政府税調メンバーの一人の言葉に至っては、恫喝ではないか。
こんなことでは、健全な資本主義精神は育たないし、何より自由が死ぬ。

自由が保障されてこその経済繁栄であるということを、政府首脳にはぜひ深く理解していただき、経済政策の面でももう一段保守回帰していただきたいものだ。


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